• 稲岡 利彦

個人の力に頼らない会場全員接客の極意#7~感動映像に涙するその後に全員で来館感謝~

会場全員接客におけるクライマックスは、新規来館者を一堂に集めての試食となります。前回の連載では、黒服がプレゼンをすることで料理の価値を高め、さらに様々な情報を聞き出す役割も持つ。料理に関しても、盛り付けの鮮やかさはもちろん、ゲストを配慮した食べやすさなども重視していくこと。さらに食のクオリティを感じてもらうために、あえて水(高級感を出すためにガス入りなども提供)にすることを紹介しました。今回は、いかに試食会場を感動的にし、温度感を高めていくかのノウハウとなります。 

 料理を知ってもらうための試食である以上、料理長の役割は非常に重要です。その登場はデザートタイムなどで多少落ち着いた時がおススメですが、一方それまでに期待感を高めるという演出も大切。そのためにも、厨房や料理のこだわりを映しだした映像を用意する。この映像は、試食がスタートする前のタイミングで流すことを提案しています。いざ料理が運ばれてくる前に、期待感を高める効果もありますから。 

 試食がある程度終了し、デザートタイムとなります。そのタイミングでシェフにあいさつに入ってもらいます。その際に大切なことは、料理長の格式を上げるためのちょっとした対応です。料理長一人で顧客のもとに行くのではなく、必ず担当プランナーが連れてきたという状況を作り出していくこと。自らが挨拶をするのではなく、プランナーから紹介することにより、すごい人を連れてきてくれたという印象を与えます。さらに料理に関する質問なども導いていく。これは、通常プランナー1人対新郎新婦2 人の接客を、2 対2にすることができます。 

 デザートに関しては、パティシエ自らが出すことも時間があれば対応すべきです。その際に、2 人のイニシャルを象ったクッキーなども添えていれば、会話も盛り上がります。 

 料理長が1 周しながら、挨拶、コミュニケーションをとった後に、披露宴の温度感を高める感動映像を流します。この映像については、試食をしている新郎新婦が自分たちと重ね合わせられるものがベストです。ゲストに子どもがいる、祖父母への感謝、楽しい友人との語らいなど、様々な人が出てくる結婚式のシーンを切り取って繋ぎ合わせていきます。自らも、どこかのシーンを我がことのように思い描くことができるよう、あえて様々な結婚式を入れていくことが大切です。また、新郎新婦によってどの時間帯の結婚式を志向するのかは様々であり、映像の中の時間帯は昼、夕方、夜などを組み合わせる。天気でも、晴れの日、曇り、雨であればどうなのかということが分かるようにしていきます。映像の最後には、その日に来館してくれた新郎新婦の名前をエンドロールで流すことで、わざわざ自分たちの名前まで入れ込んでくれたと感動を呼び起こします。そこにいる花嫁のうち、最低でも半分の人が感情移入し泣いてくれるような映像を目指していきます。 

 感動映像に心が奪われている間に、次のシーンに向けインカムを使って館内中のスタッフを呼び出します。調理場や清掃スタッフも含めて、集まれる人は基本全員。ポイントはそれぞれ制服の異なる、多くの部門のスタッフがいること。ガーデンに面している会場であれば外に。それが無理であれば、バンケットにずらりと並びます。集まるスタッフは最低でも20名はいるべきです。ガーデンに面している会場であれば、感動の映像が終わり暗い空間からカーテンが開かれる。そこに会場の多くのスタッフが並んで来館の御礼を頭を下げている。これは非常にインパクトのある演出でもあります。 

 20名が集まれば、暗転から明かりのついた瞬間にバンケ内に並んでいるだけでも、心に残るものです。所要時間はほんの5 分程度。各部門のスタッフが5 分の時間を充てるだけで、会場の印象も大きく変わります。挙式が始まったばかりの時間であり、協力をすればそれだけの人が集まることも十分可能なのです。 

 スタッフ全員で来館してくれたことに感謝しながら、プランナーが挨拶をします。POPなどを使って、全員で手を振りながら、試食会場を後にする新郎新婦を見送り。その後サロンでのクロージングとなります。 

 こうした試食での演出は、その施設で行われる施行のイメージを強烈に植え付けることとなります。だからこそ手を抜かず、徹底的にやり切っていく姿勢が大切であり、会場全体で取り組むべきなのです。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1-21日号)

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