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  • 執筆者の写真道子 小網

個人の力に頼らない会場全員接客の極意#10~コロナ過で浮き彫りになった分業制の弊害~

 全員接客のメリットとして、即決後キャンセルも抑えることができます。せっかく即決したのに、20%のキャンセルとなれば、新規接客の意味がなかったということになります。とりあえず決めたものの、後から家族や友達から指摘を受ける、SNSや口コミを見ていたら評価が低かったなど、キャンセルをもたらす情報はこれまで以上に増えています。施設が素晴らしい、料理が美味しいという会場が無数にある中で、他を知らないことをいいことに無理やり契約をさせても、最終的にキャンセルになる可能性は高いままです。  その点、会場全員接客は、そこにしかいないスタッフ、スタッフによるおもてなしをより深く知ってもらい、契約の最後に担当プランナーが「私、私たちに2人の結婚式をお手伝いさせてください」と即決に導きます。その場でカメラマンやキャプテン、シェフの指名が入ることも。他にはないおもてなしを気に入ってくれた人だけが契約するため、仮にその後他会場を見ても、キャンセルの可能性は抑えられます。

 即決後キャンセルの最大の要因は、新規担当による日程や予算を重視したセールスの圧力によって決めたものの、後からよく考えて騙されたのではという思いが生じてしまうことです。高いところでは20%近くになりますし、平均的にも10%前後はあります。一方、全員接客を実践している都内の会場は、わずか3%となっています。即決後キャンセルになった場合、新規担当の心が折れてしまいます。キャンセル理由がなかなか聞けないため、自分の取り方が間違っていたのではと考え、自らの接客に疑心暗鬼になります。  さらに問題なのは、キャンセルに関して支配人や会社が厳しくチェックしないことが多いという点です。組織全体の弊害としてありがちで、即決に集中するがあまり、支配人が会社に報告する際にも今日何%だった、今週何%だったのかの目先が中心になり実際その後どうなったかにまで注意しているところが少ない。新規担当個々人の評価も、成約率が何%だったのかを重視する一方、キャンセルによってどれだけ離脱したかまでチェックしない。そうした企業では、とにかくどんな手を使ってでもいいから契約を取ろうというスタッフが増え、確かに即決は増えたもののキャンセル率も同じように高くなるという悪循環に陥ります。 (詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月1日号)

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